岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ご、ご無体な…英国中銀総裁が賃上げを期待しないよう呼びかける

イギリスでは物価上昇(インフレ)が生活に及ぼす影響が問題になっているようですが、そうした環境下での英国中央銀行総裁の発言が話題になっています。記事によると同総裁は賃金増加期待によって勢いづくインフレの連鎖を止めることが自身の目標として、抑制された賃上げを呼びかけたそうです。

消費者が賃金上昇をあてにして価格上昇を受け入れると、物価上昇の抑えが効かなくなりますから、言っていることは正論ではあります。ただ現在のインフレはエネルギー価格の上昇やサプライチェーンの問題に起因していると認識しています。賃金上昇期待をキッカケにした連鎖が起きているとまでは言えないのだとすると、現段階で賃金上昇を警戒する発言をすることは中銀総裁として先走り過ぎな印象を受けました。

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セントルイス連銀のデータベースより


日本では岸田政権が賃金引き上げを呼びかける等、賃金引き上げに熱心であり、賃金引き上げに向けて否定的な発言をすることは公職につく人にとっては命取りになりかねません。英国中銀総裁による今回の発言が出てくることは、どのような背景によるものか興味深いところです。自由な発言を許容する雰囲気が社会にあるのか、賃金上昇なしでインフレを受け止めるほど経済状況に余裕があるのでしょうか?

世代間格差解消の手段(そして少なくとも日本では世代間格差が問題になっている)としてのインフレの存在や、経済の低成長がどれくらい続いているか等、さまざまな要因が働いているはずで、結論の出てこない問題ですね…