岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

西側先進国は共同富裕を見習うべきなのか?

ヘッジファンド最大手のブリッジウォーター社の創業者であるレイ・ダリオ氏が中国政府が推進する「共同富裕」という取り組みを称賛したという記事を読みました。
同氏曰く、共同富裕は格差是正と機会均等、そして幅広い人材の育成につながり、ひいては社会の繁栄につながる、とのことです。また西側先進国はこうした取り組みを学ぶ余地があると発言しています。

共同富裕のお題目部分を読むと、たしかにダリオ氏のような理解も可能とは思います。ただそうした取り組みによって生じる副作用、例えば競争がもたらす発展や革新が減少してしまうことを考えると、必ずしもそうとは言えないように思います。

今のところ共同富裕がもたらした影響は、巨大IT企業に対する規制強化、営利目的の学習塾の取締り、不動産業界の加熱抑制といったところかと思います。こうした取り組みを通じて、巨大IT企業による独占や少子化の食い止め(住宅取得を容易にし、教育費の引き下げる)が可能になるのかもしれませんが、その副作用についても考える必要があります。

今回この記事を作成するにあたって共同富裕に関する各社のレポートを読むと、共同富裕という取り組みはかっての文化大革命のような、経済に致命的な打撃を与える取り組みになるとまでは考えられていないようです。中国政府による経済政策の実績(2桁台の驚異的な経済の伸びは収まりましたが、引き続き高い経済成長を記録しています)を考えると、資本市場が中国政府を引き続き信頼している点は理解できます。

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セントルイス連銀のデータベースより

 

ただ本当に社会全体の活力を維持しつつ、共同富裕を実現することができるのか、注目したいと思います。

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