岸辺の日記

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朗報!金融所得課税の増税は見送りへ

与党の税制改正案がまとまったようです。個人投資家にとって気になる金融所得課税は「投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行う」として、増税は見送りとなるようです。本日はこの基準に基づく判断が、今後どう変わるのかについて考えていきます。

まず「投資しやすい環境を損なわない」という点ですが、iDeCoやNISAの促進に見られるように個人金融資産を貯蓄から投資へ向かわせようとする流れは今後も継続されるものと思われます。iDeCoやNISAが維持されることは当然として、国はこうした優遇制度以外の投資も促したいところだと思います。したがってこの点は増税見送りに恒久的に追い風になると思われます。

次に「諸外国の制度」ですが財務省のホームページ「主要国の株式譲渡益課税の概要」によると、アメリカと英国と比較した場合は高い、ドイツをフランスと比較すると低い、となるようです。日本は欧州型の高福祉高負担の社会を志向しているように感じますが、とはいえ国際比較で突出して高いとは言えません。
アメリカでは超富裕層に対する課税強化が検討されているそうで、これが日本国内の議論にどう影響するのかは今後の注目点でしょう。ともあれ現時点でこの点は増税に対して中立だと思います。

最後の「市場への影響」については増税という個人投資家が市場から離れるような政策は採用しにくく、この点は増税見送りに恒久的に追い風だと思います。

このように考えると今回のような判断基準で考える限り、「諸外国の制度」が大きく変わらない以上、金融所得課税の引き上げはなかなか実現しないように思います。ただし冒頭の引用の前にある「高所得者層において、所得に占める金融所得等の割合が高いことにより、所得税負担率が低下する状況がみられる」という論点は、今後も折に取り上げられるように思います。

したがって今回の判断基準が今後も適用されうかどうかは甚だ不透明です。零細個人投資家としては将来的な増税の可能性を意識しつつ、今後も証券業界系のロビイスト団体等による働きかけに期待するしかないのでしょう。

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