岸辺の日記

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「信頼できないボーイフレンド」は市場参加者を振り回すべき

英中銀総裁の発言が金融政策の見通しに対する市場参加者の期待を誤解させたとして、一部で批判されています。利上げを匂わす発言をしつつ、結局利上げをしなかったことについて、「信頼できないボーイフレンド」と評されているとのことです。こうした批判に対して英中銀総裁は「利上げをするとは言っていない」「自分の発言が曲解された」と切り返しています。

当時の発言を伝える記事を読み返すと、たしかにインフレに対する警戒感を示した上で「行動する必要」があることを示唆していました。ただ直接的な表現で利上げすると言っていたわけではなく、この発言のみ受けて「利上げ確実」と判断するのは、たしかに市場参加者の行き過ぎであった気がします。

そもそも中銀総裁と言っても金融政策を決める会合の出席者の一人に過ぎません。意思決定にあたって重要な役割を示すことは確かでしょうが、中銀総裁一人の意思だけで金融政策が決まるわけではないわけです。市場参加者は中銀総裁の発言を受けて、インフレに対する警戒感から利上げを行う可能性を織り込むべきとは思いますが、「利上げ確実」と捉えるのは行き過ぎです。

市場参加者の予想のままに中銀が動くようになると、その予想がもともと中銀当局の発言によるものとはいえ、公式な金融政策が市場に与える影響が弱まることにもつながりかねません。今回のようなことが頻発すると当局者の発言が重要視されなくなってしまいますが、中銀はある程度は「信頼できないボーイフレンド」であるべきで、市場参加者を振り回すべきだと思っています。

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