岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

設定はありうるものの、冷静に考えるとありえない話。映画「きみへの距離、1万キロ」

パイプラインの保守を請け負う会社で働く男性とそのパイプラインが設置されている北アフリカの女性のラブストーリーです。
パイプラインはそうでなくてもパイプに問題(油が漏れる等)が発生していないかを確認する必要があるわけですが、治安の悪い地域ではそうした保守管理に加えて防犯面の対処(原油泥棒への対策等)が必要になります。防犯のレベルを超えますが、戦争やテロによってパイプラインが破壊されることも耳にしますね。

主人公の男性は遠隔操作で保守や防犯を行う会社に勤める男性で、パイプラインに取り付けられたセンサーや遠隔操作のロボットを通じてパイプラインを管理しています。
センサーで油量を測定しているのは想定の範囲内でしたが、驚いたのはロボットの機能です。移動によって見たい場所が確認できるほか、同時通訳(男性は同時通訳機能を通じて女性に話しかけます)や威嚇射撃まで行うことができます。これまで考えたことがありませんでしたが、パイプラインの運営にはたしかにそうした業務も必要なのでしょう。
また主人公の上司が主人公の日報に、もう少し脅威を指摘するように指導するシーンも、ありそうな話だなと思わせます。顧客であるパイプラインの所有者に対して警備状況を送る際に「本日も平穏なり」では、保守業務の重要性、ひいては委託料の価値が下がってしまうからです。

このように「よく知らなかったけど、たしかにありそうな世界」で、男性は対人攻撃が可能なロボットを通じて女性に語りかけます。冷静に考えるとありえない展開ですが、あまり不自然にならないように脚本が工夫されているのは見事です。現実感のない話を一時楽しませてもらいました。

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