岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

米国に厭戦気分をもたらしたもの。映画「ブラックホーク・ダウン」

ソマリア内戦によって起こった飢餓からソマリアの人々を救うために派遣された米国軍による、現地を支配する軍事勢力に対して起こした作戦によって起こった混乱(モガディシュの戦闘)を、米国側の視点から描いた映画です。1993年に起こった実話を元にしています。

映画を見た後にその背景を知るためにWikipediaで調べたのですが、この事件の後に米国はソマリアから撤退しています。そして撤退という判断に至った一因に、本作で描かれている現地人による米兵への残虐行為があった(その様子はニュース番組で報道されたようです)とのことです。
冒頭の説明にあるように、ソマリアの人々を救うために派遣された米軍がその現地の人々に虐殺されたのだとすると、その戦争の意義に疑問符がつくのはよく理解できます。アメリカは世界秩序を保つ枠組みを通じて世界の覇権を握っていますので、大きく捉えるとソマリアへの軍の派遣はその一環と言えるわけですが、米国の国民感情としてそのことが理解できないのは当然です。

またイスラム国などが外国人を人質にとり、惨殺する様子を世界に発信していましたが、このように厭戦気分を盛り上げるのも狙いだったのかもしれないなと思いました(その他に自分たちの存在をアピールする狙いもあったようです)。ただそうした行為は逆に米国人の敵愾心を高めただけだったと思います。
モガディシュの戦闘が厭戦気分を引き起こしたのは、ソマリアの普通の人々が米兵を惨殺した(ように見えた)のが衝撃的だったのであり、いわゆるテロリストが残虐行為をしても、反発をまねくだけでしょう。

先日アフガニスタンで見られたように西側先進国の理屈が通じない国・地域において、先進国が掲げる正義が理解されずに反発を招いてしまうことは、仕方ないことかもしれません。そんなことを改めて考えさせられた映画でした。

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