岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

今回も結果的に名タクトを振ったマエストロ。パウエル議長

注目されていたジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演が終わりました。事前の予想では早すぎる金融引締め(といってもテーパリングですが)によって株式市場が調整するのではないか、逆に現状維持を続けることで物価上昇が管理不能になるのではないか、といった懸念が聞かれましたが、結果的に今回も名タクトを振った形になりました。

講演では年内のテーパリング開始について言及してインフレを放置しないことを明らかにしつつ、一方でテーパリング後に予想されている利上げについてはまだ先であることを明示されており、バランスの良さを感じさせます。株式市場は利上げまでの期間が当初予想よりも長くなる、あるいは懸念されていた早期利上げの懸念が後退したことを受けて、上昇しました。

思い返すと昨年のジャクソンホール会合では今年になってインフレ率が上昇することを予期していたかのような(実際にここまで早いとは思っていなかったでしょうが、ある程度は予期していたように思います)、後になって振り返るとキレッキレの政策判断でした。
今回は将来の不透明感を考慮し、バランスを取ればそういう発表になるだろうなと、ある程度は想定できる内容と言えると思いますが、ただ市場の空気が読めていることは市場参加者に安心感を与えたと思います。

その意味で今回、マエストロ・パウエル議長は手堅いタクトを振ったと言えるのでしょうが、不透明さが残っているからこそ、手堅く振る舞うことが現時点の名タクトと言えるのだと思います。
今後はテーパリングの進捗スピード(資産買い入れ額の減少額)や利上げ開始時期をめぐり、名タクトを振っていただくことを期待したいと思います。

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