岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

東日本大震災時の日銀の議事録が公表される。思えば遠くへ来たもんだ

原文は読んでいないのですが、東日本大震災の直後に開催された金融政策決定会合の議事録が公表されました。現在に比べて日銀が取れる対応の選択肢が限られていた中、どのような議論が行われていたのかは注目のしどころで、記事でもその点に触れられています。

まず、金融緩和の方針が全会一致で確かめられたとのこと。これは当然です。
面白かったのがリスク性資産の買い入れを5兆円に増額することに対し、当時の審議委員が日銀の財務の健全性を懸念していたということです。
時は流れて現在のETF買い入れ額は36兆円。当時をはるかに上回る金額になっています。中央銀行が取れる選択肢の幅が広がった、MMT(トンデモ説との意見がありますが…)の浸透によって幅広い選択肢を実行することに対するタブー感が薄れたこと等の違いが指摘できますが、時代が変われば変わるものです。

また復興のために発行した国債を日銀が引き受ける構想が出ていたそうです。これについては否定的な意見が多かったとのこと。「破滅の道をたどるような愚行は、絶対に避けなければならない」との意見もあったそうです。このように原理原則を守る態度は、ひいては通貨に対する信認につながるように思います。
この点についても、現在では国債の大規模買い入れやイールドカーブ・コントロールによって、実質的に財政ファイナンスと解釈する意見も出ているほどで、様変わりしています。

異例とも言える金融緩和に突き進む日本銀行。その緩和の程度は先進国の中でも先頭を走っているように思いますが、金融緩和の出口はどのようなものになるのでしょうか。