岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

運用手数料の低いETFが投資可能になったらどう動くか?国内ETF編

昨日に引き続いて運用手数料が低いETFが投資可能になったらどう動くか、自身の考えを記録していきます。
国内のETFないしは投資信託は米国上場のETFと比べ、円をドルに換える際の手数料(ドルを円に換える手数料もかかります)が不要になることや配当にかかる税金のうち米国で課される分が不要になるといった点で優位になります。このため米国ETFと同等に安価なものが出てくれば、できるだけそれに乗り換えたいと思っています。

日本の資産運用業界も手数料引き下げ競争が起こっており、米国ETFと比べて遜色ない水準まで手数料は下がっている国内ETFもあります。ただし以下の点が気になり、既存投資分の乗り換えだけでなく、新規資金も含め、投資に尻込みしてしまっています。それは取引量の少なさと同様に安価な手数料のファンドの選択肢の少なさです。

取引量の少なさは適正価格での売買に必要になります。購入する時は取引量を確認しながら買うので問題になりにくいですが、いざ売ろうとした時に十分な取引量がなく、適正価格で売れないのでは困ります。取引所も適正価格での売買を促すマーケットメイクという仕組みを取り入れるなど頑張っていますが、この取組みがいつまで続くのか、いまいち確信が持てません。
ファンドの選択肢の多さは既存で米国ETFに投資していた資金を移動させる際の目安になります。せっかく税金とドルから円に換金する手数料を支払って円資金を作ったのに、投資対象がなくなってしまっては困ります。再び米ドルに換金すると、また手数料がかかってしまいますので。

なお、国内投資信託については取引量の問題はなくなりますし、新規資金については為替手数料の問題は起こりません。その商品がダメだと思ったら売却し、その時点で魅力的と考える国内ないしは米国のファンドに乗り換えるだけです(この乗り換えに税金以外のコストはかかりません)。このためすでに一部の新規資金については国内投資信託に振り分けています。米国と比べて遜色ない投資信託が出てきたことは日本の資産運用業界の発展の成果だと思います。

少し目線を変えて、資産運用環境を改善しようとした時に、単に良質なETFをたくさん上場させるだけでは十分ではありません。器を整えるだけでなく、それを使う市場参加者を確保しないと取引量が伸びず、結果として魅力的な市場にならないわけです。このあたりは市場という仕組みが本来民主的なものであることを思い起こさせ、とても興味深いです。