岸辺の日記

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バフェット氏の後継者、優秀すぎる前任者からの大きすぎる期待

世界最高の投資家の一人と目されるウォーレン・バフェット氏は、その影響力の大きさと高齢であること(御年90才)があいまって、その後継者に誰を指名するかに注目が集まってきました。今回明らかにされた現在の後継予定者はグレッグ・アベル氏で、その年齢は58才。優秀であることはもちろんのこと、年齢が決め手だったそうです。バフェット氏曰く、会社を20年率いることができる人物であることが求められるとのことでした。

単に若ければ良いというのであれば40代の優秀な候補もいたことと思いますし、米国企業においては大企業であっても若い経営者を抜擢することが珍しくありませんが、バフェット氏は40代でなく60才に近いアベル氏を選びました。バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社は複数企業の集合体であるため、グループの経営にあたっては円熟味が求められるということなのだと思います。
経営の若返りが進まないとして日本企業が批判されることがあります。たしかに50代後半の社長就任が「経営陣の若返り」と表現されたりすることには強い違和感を感じますが、一方で大きな組織を率いる際に年齢的な重みが必要というのは、儒教的な考え方が浸透している日本人にはよく理解できます。

この記事を読んで同時に思ったことはバフェット氏が後継者に対し、生涯を通じた貢献を期待しているということです。バフェット氏は当面の間、バークシャー・ハサウェイ社の経営に関与し続けるでしょうから、アベル氏が同社のトップに就任して20年が経過すると同氏は80才近くになります。この歳になると体力的な制約により、引退後の生活を楽しむことは難しくなるでしょう。バフェット氏の期待に応えるには覚悟がいるということです。
バフェット氏自身は自身が大きくしたバークシャー・ハサウェイ社を率いる仕事を心から楽しめると思いますが、アベル氏が同じ仕事を同じように楽しめるか、生涯をかけた仕事として情熱をもち続けることができるか、は難しい面もあるように思います。優秀な人であればあるほど、自身の組織を立ち上げたいという欲が出てきてしまうような気がします。

自ら望んで後継者候補になっていたとはいえ、バフェット氏ほどの後継者として指名されることは、簡単なことではありませんね。