岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

「狂乱の20年代」はやってくるのか?

コロナ禍によって抑制されていた需要が収束後に発散し、コロナ収束後は高い経済成長が見込めるのではないか、とする予想を目にします。ワクチン接種の先進国では経済成長が実現しつつありますので、もはや「予想」ではないかもしれません。

世界中で1年近く旅行や外食を楽しみにくい環境が続いていただけに、収束後に旅行や外食への支出が増えるであろうことは、容易に想像できます。私自身も収束後に行ってみたい場所、会いたい友人の顔をいくつか思い浮かべることができます。


さて、第1次世界大戦後の経済復興で高い経済成長を記録した1920年代は、スペイン風邪の流行後でもありました。そしてこの1920年代の世相を表す「狂乱の20年代(Roaring Twenties)」という表現が、コロナ収束後を見すえて引用されることが増えてきました。この頃の米国は大量生産の本格化や都市化によって大きな発展を遂げたのですが、経済面だけでなくジャズやダンスなど新しい文化も花開きました。ファッションを楽しむ風潮が広がったのも、この頃からのようです。
中世の欧州の停滞を取り払ったのがルネサンスであったように、社会が停滞を脱するときに新たな文化が花開くのかもしれません。同様のことが今回も起こるのだとすると、コロナ禍による停滞にも一定の意義があったと言えるかもしれません。


ただし狂乱の20年代は、スペイン風邪の収束というよりも、第一次世界大戦後の開放的な気分の方が大きく影響していたように思います。コロナ対策は戦争に例えられることがありますが、やはり本物の戦争と感染症対策では、人の心理に与える影響は違うでしょう。やや先走りすぎているのかもしれませんが、経済的な成長に加えて文化的な変化も楽しみです。